すいません、ちょっと大袈裟なタイトルになっちゃいました…。
しかし、実際に私はこの「魔法の言葉」をもう10年以上も呪文のように唱え続けていて、新しい施策を始めるときや何か判断に迷ったときは、必ずこの言葉を自分自身に投げかけています。
えっ、そんな普通の言葉なの? と思うかもしれませんが、効果は絶大です。
ぜひ最後まで読んでみてください。
「だれを、どうしたいのか?」
広告会社に12年間勤めていた私は、これまでにさまざまな企業のマーケティング施策を間近で見てきました。その中には、うまくいっていない施策も数多くあります。
うまくいっていない理由の多くは、以下の2つ。
1. 手段が目的化している
2. 目的と手段が合致していない
「手段が目的化している」というのは、なぜそれをやるのか、なんのためにやるのかを深く考えることもなく、ただそれをやることが目的になってしまっている状態です。または、当初あったはずの目的がいつの間にか忘れ去られている場合もあります。
最近で言えば、SNSのアカウント運用、オウンドメディアの立ち上げ、MAツールの導入など、競合他社がやっているから、いま流行っているからという “不純な” 理由で始めてしまってこの状態に陥っているパターンが多い印象です。
「目的と手段が合致していない」に関しては、正しい目的に対して誤った手段を選択しているというよりも、そもそもの目的があいまいだったり、目的の本質を担当者が理解できていなかったり(あるいは、深く考えていなかったり)が原因だと感じています。
つまり、「手段が目的化している」にしても、「目的と手段が合致していない」にしても、諸悪の根源は目的の立て方にあるということです。そしてそれは、とてもシンプルな問いで解決することができます。
それが、これです。

マーケティング施策を始めるときは、マーケティング戦略、ブランディング、ターゲット、ポジショニング、消費者インサイトなど、さまざまなことを考えると思います。
これらはどれも大切な概念ですが、いかんせんマーケティング用語は難しい言葉ばかり。それらの言葉の本質を理解して使いこなすのは、簡単なことではありません。無理に難しい言葉を使おうとすると、頭がフリーズしてしまいます。
そんなときに有効なのが、この限りなくシンプルで、本質的で、実用的な問いなのです。
「だれを、どうしたいのか?」
これさえわかれば、答えは自ずと導き出されるとさえ思っています。
シンプルに考える癖をつける
ここで言う「だれを」とは、いわゆる商品やサービスの「ターゲット」とは少し異なります。
マーケティング施策を考えるときに、「ターゲットは誰ですか?」という聞き方をしてしまうと、「この商品のターゲットは、都内に住む20代の女性です」のような、デモグラフィックな回答が返ってきがちです。
これはこれで大切な情報なのですが、個々のマーケティング施策の最適解を考える際には、あくまで「その施策の対象者」を「商品との関わりの深さ」で考えるのがポイントです。
・その商品のことを知らない人
・知っているけど、買うつもりはない人
・買おうかどうか迷っている人
・一度買ったがリピートしていない人
・いつも買ってくれている人 etc.
「どうしたいのか?」というのは、「どういう状態からどういう状態に変えたいのか?」ということです。つまり、そこには必然的に「現状の課題」と「理想の状態」が含まれます。
とてもシンプルな問いですが、もっとも大切なことがここに凝縮されていて、あれこれ余計なことを考えない分、本当にやるべきことが何なのか明確になりやすいというメリットがあるのです。
例えば、自社商品のポスターを作るとして、
【ターゲット】都内に住む20代の女性
【目的】商品の販売促進
と考えるよりも、
【問い】だれを、どうしたいのか?
【答え】商品の名前は知っているけど買うつもりはない人に、1度試しに使ってみてほしい
と考えたほうが、「だったら、商品の◯◯という特徴を全面に出したほうがいいんじゃないか」「キャンペーン情報は必須だ」 など、具体的なアイデアが出てくるのではないでしょうか。
もちろんマーケティングは、これほど単純なものではありません。もっと多角的に考えて実行できるのであれば、それに越したことはありません。しかし、複雑化した結果、思考停止してしまっては元も子もありません。だからこそ、あえて単純化して、シンプルに考える癖をつけておくことが大切だと思うのです。
「だれを、どうしたいのか?」
たったそれだけ。
それだけで、マーケティング施策の成功確率はぐっと上がります。
とても簡単にできることなので、騙されたと思って一度試しにやってみてください。きっと、その効果を実感していただけると思います。