2023/12/06

マーケティングに必要な「購買プロセスマップ」とは?

山下侑一郎

山下 侑一郎

2023/12/06

マーケティングに必要な「購買プロセスマップ」とは?

山下侑一郎

山下 侑一郎

2023/12/06

マーケティングに必要な「購買プロセスマップ」とは?

山下侑一郎

山下 侑一郎

私がマーケティング支援をさせていただく際、最初の分析段階で必ず行うのが「購買プロセスマップ」の作成です。聞き慣れない言葉だとは思いますが、私にとって「購買プロセスマップ」は、マーケティングの出発点であり、困ったときのよりどころとなる超重要ツールです。

購買プロセスマップとは

「購買プロセスマップ」とは、ターゲット顧客がどのようなプロセスを経て購買に至るのか、その購買行動を図式化したもののことです。似たようなものに「カスタマージャーニーマップ」がありますが、カスタマージャーニーマップでは、特定のペルソナの思考や感情の起伏に焦点を当てるのに対し、購買プロセスマップでは、ターゲット顧客全体の代表的なプロセス(行動や接点)を可視化することが主目的となります。

BtoBビジネスの購買プロセスマップのサンプル

上図は、一般的なBtoBビジネスを想定した購買プロセスマップのサンプルです。業種や商材、エリア特性などによって、顧客がたどるプロセスは大きく異なるため、どの企業でも共通して使えるものではありません。自社の商品ごとに購買プロセスマップを作成することになります。

例えば下図は、美容室を想定した購買プロセスマップのサンプルです。先ほどのBtoBビジネスのサンプルとは大きく異なることがわかると思います。

美容室の購買プロセスマップのサンプル

ちなみに「購買プロセスマップ」は、名前も含め、私が長年の経験の中で独自に生み出したものです。そのため、私以外の方に「購買プロセスマップ」と言っても通じませんので、その点はご了承ください。ただし、名前や形は違えど、ベースとしては同じような考え方をされているマーケターの方々はいらっしゃると思います。

購買プロセスマップの作り方

購買プロセスマップの作り方

購買プロセスマップを作る際は、左から順番に「日常ステージ」「購買ステージ」「継続ステージ」と分類します。「購買ステージ」は常に必要ですが、「日常ステージ」と「継続ステージ」は、商材特性によって重要度が大きく異なり、省略する場合もあります。

日常ステージ

日常ステージ

日常ステージとは、その商品をまだ購入したことのないターゲット顧客が、その商品カテゴリーに対するニーズを自覚する前の段階を意味します。この段階では、ターゲット顧客は能動的な購買行動を起こすわけではありません。そのため、ここには「未購買のターゲット顧客に対して自社がやるべきこと」を記入します。

基本的には、「認知獲得」「想起率向上」「好意形成」「需要喚起」の4つが対象となります。ただし、商材によってそれぞれの重要度は異なるため、その商材にとって重要なものをこの4つの中から選択して記入する形になります。

購買ステージ

購買ステージ

購買ステージは、未購買のターゲット顧客がニーズを自覚してから、商品の成約や購入に至るまでの段階です。ここでは、ターゲット顧客がたどるプロセスをひとつずつ矢印でつないでいきます。特異な例など、すべてを網羅する必要はありませんが、代表的なプロセスはできるだけ記入するようにしています。

この中身は商材によって大きく変わりますが、多くの場合、最初の分岐は「想起できる・できない」になります。ニーズが発生したタイミングでその商品を想起できるかどうかによって、顧客がたどるプロセスは大きく異なるからです。また、想起できない場合、大きくは、「周囲に相談して紹介してもらう」か、「自分でニーズに合った商品を探す」か、「お金をかけずにニーズを解決する方法を調べる」に分岐するのが一般的です。

継続ステージ

継続ステージ

継続ステージには、初回の購買後に顧客がたどるプロセスを記入します。商材にもよりますが、「リピート」と「推奨・クチコミ」がメインになるでしょう。

マーケティングでは、成約・購入がゴールだと勘違いされることもありますが、一度の購入限りで、その後のリピートや推奨行為が生まれない商品は、中長期的な成長が望めません。そのため、この継続ステージまでしっかり可視化することが大切になります。

購買プロセスマップの使い方

購買プロセスマップは、作るだけでも、ターゲット顧客の行動を深く知るきっかけになるため一定の意味はありますが、作って終わりではなく、「使う」ことが重要です。

マーケティング施策を追記する

購買プロセスマップに施策を追記

購買プロセスマップが完成したら、今実施しているマーケティング施策を矢印部分に書き加えます(上図の赤字部分)。各マーケティング施策は、基本的に購買プロセスマップの中のいずれかの矢印を強化するために行うものです。そのため、施策を書き加えることで、今やっている施策の目的が改めて明確になり、さらに全体を俯瞰することで、施策の偏りや不足も見えてくるでしょう。

ボトルネックを特定する

購買プロセスマップでボトルネックを特定

次に、ボトルネックを特定します(上図のオレンジ矢印部分)。ビジネスがうまくいっているときというのは、購買プロセスマップの左端から右端までの矢印がスムーズに流れている状態です。逆にいうと、うまく言っていないのであれば、どこかの矢印に問題がある(ボトルネックになっている)はずです。

どの矢印がボトルネックなのかは、購買プロセスマップだけを眺めていてもわからないかもしれません。しかし、購買プロセスマップもなく、ただ漠然と「自社のマーケティング課題は何か?」と考えることに比べれば、正しい答えにたどり着く可能性は格段に上がるでしょう。そして、先ほど矢印部分に施策を書き加えたように、ボトルネックさえ特定できれば、そこを改善するための施策を選別することは、さほど難しくはないのです。

まとめ

購買プロセスマップの作成および活用は、お医者さんがレントゲンを撮って、問題のある部位を特定し、その病気を治すための薬を処方する行為に似ています。つまり、購買プロセスマップを作らなければ、数あるマーケティング施策の中で、何に注力すべきかわからないともいえるでしょう。

購買プロセスマップの最大のメリットは、木と森を同時に見られることです。中小企業のマーケティングでは、マーケティング施策(木)にばかり着目して、マーケティングの全体像(森)が見えていないケースが少なくありません。購買プロセスマップがあれば、自社商品のマーケティング全体を俯瞰しながらボトルネックを特定でき、各施策の目的も明確になります。さらにそれを、社内外のメンバーと共有することも容易になるでしょう。ぜひ一度、購買プロセスマップを作ってみることをおすすめします。

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山下侑一郎
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山下 侑一郎

福岡在住。フリーランスのマーケティング・プランナー。 広告会社「アサツー ディ・ケイ」を2018年に退社後、独立。現在は福岡の中小企業を対象に、Webマーケティング支援事業を行う。