たまに、「戦略とは、戦いを略すことだ」と言う人がいますが、あれはただの “言葉遊び” なので、あまり真に受けないほうがいいと、私は思っています。
「戦略」という言葉をいくら辞書で調べても、上記のような解説は載っていません。(私が知らないだけかもしれないので、載っている辞書があったら教えてください)
それに、そもそも「略」には、「はかる」「はかりごと」という意味もあります。
戦いのはかりごと。それが「戦略」です。
もちろん、「戦わないで済む方法を選ぶ」という戦略はあり得ます。しかし、それが戦略のすべてではないので、良い戦略になるシチュエーションと、悪い戦略になるシチュエーションがあると思うのです。
例えば、「大きな市場には強力な大手がいるので、戦わないで済むように、小さな市場を狙う」という戦略を立てたとします。
この場合、実際には、以下のようなシチュエーションであるかもしれません。
【大きな市場(勝率30%)】
年間 100戦 → 30勝 70敗
【小さな市場(勝率80%)】
年間 20戦 → 16勝 4敗
少し極端な例かもしれませんが、戦わないことを選ぶことで、狙える市場が小さくなってしまう場合があるのです。
もちろん、大きな市場で、戦わずとも勝てるようなブランドを作れたら、それはすばらしいことでしょう。ですが、当然そんなことは容易ではありません。
「戦わずに勝つにはどうしたらよいか」を考えること自体は、いいことだと思います。しかし、「戦略とは、戦いを略すことだ」という言葉を真に受けて、安易に「戦わない」道を選ばないほうがよいと、私は思うのです。