前回は「ブランディング」という言葉の本質について書きましたが、今回は「マーケティング」について書きます。
この言葉もまた、人によって使い方がまちまちなため、私なりの定義や解釈をまとめておきたいと思います。
マーケティングの広義と狭義
マーケティングと聞いて、あなたは具体的に何をイメージしますか? 「市場調査」「広告・宣伝」「販売促進」などでしょうか。
どれも間違いではないと思いますが、それらはマーケティングの一部にすぎない、というのが私の考えです。
マクドナルドをV字回復させたマーケター・足立光さんは、著書『「劇薬」の仕事術 』の中で、“マーケティング=経営である” と語っています。
私も基本的にはこの考え方に賛成です。しかし、これだとマーケティングの輪郭がいまいち見えてこないのも事実。
マーケティング=経営なのであれば、「財務」や「総務」もマーケティングなのかと問われると、回答に少し困ってしまいます。
そこで、「経営=広義のマーケティング」ととらえ、「狭義のマーケティング」を以下のように定義したいと思います。
マーケティングとは、顧客にとって価値のある商品やサービスをつくり、それが売れ続けるようにするための活動全般のこと。
私が「マーケティング」という言葉を使うときは、基本的にこの意味で使っています。
マーケティングとブランディングの違い
さらに、「マーケティング」と「ブランディング」の違いについても整理しておきたいと思います。
たまに、マーケティングとブランディングが相反する概念かのように語られているのを見かけますが、私の考えは違います。
前回の記事では、ブランディングを以下のように定義しました。
ブランディングとは、自社の商品・サービスが選ばれる理由(すなわち、顧客にとっての価値)を見極め、それが人の頭の中にイメージとして強く定着するよう、一貫性を持たせながら、あらゆる接点を改善すること。
これだと長いので、マーケティングとブランディングの違いがわかるようにあえて言い換えると、以下のようになります。
[マーケティング]
商品が売れ続けるようにするための活動全般
[ブランディング]
商品がより選ばれやすくなるようにするためのイメージ戦略
商品が売れ続けるようにする(=マーケティング)ためには、商品が選ばれやすくするためのイメージ戦略(=ブランディング)が重要です。
つまり、ブランディングはマーケティングの一部であり、一部ではあるが、極めて重要な役割を果たすもの、だと私は思っています。
以上のことを図解すると、このようになります。

上図の「Product」「Price」「Place」「Promotion」が、いわゆる「マーケティングの4P」と呼ばれるものですが、このうち「Promotion」に関しては、「Communication」と表記したほうが適切だと思っています。
「プロモーション」と言うと、広告やキャンペーンなどのいわゆる「販促」だけを思い浮かべがちですが、PRやCRM、SNS、Webサイトなどといった、潜在顧客や既存顧客も対象とした、コミュニケーション施策全般がここには含まれるという意味です。
ちなみに、この「Promotion」あるいは「Communication」の部分を指して「マーケティング」と言っている人が多い印象があります。もちろん、それが間違いということではなく、私の定義は異なるという話です。
では、Webマーケティングとは?
最後に、このサイトでもよく使っている「Webマーケティング」という言葉にも触れておきます。
リスティング広告やディスプレイ広告、SEOなど、Webサイトへの集客施策のみを指して「Webマーケティング」と言っている人も多いと思いますが、私は、上記で説明した「マーケティング」の範疇のうち、単純にWeb上で行うものすべてを「Webマーケティング」と呼んでいます。
本質的には、マーケティングを「Web(オンライン)」と「リアル(オフライン)」で分けて考えること自体、これからの時代を考えるとナンセンスなのかもしれません。
ですので、私が事業として行っている「Webマーケティング支援サービス」では、主軸をWebにしつつも、オンオフ分けず、マーケティングの上流部分からお手伝いできたらと思っております。